すると、どんどんブレていってしまいます。それでは、どうすればブレずにいられるのでしょうか?
たとえばどんなにきつい仕事でも「月月火水木金金」と働くのではなく、週末は恋人とデートというプランを入れておくことで、ウィークデイの仕事を頑張ることができます。ウィークデイとは異なったプランが入ることも含めて、ルーティンにするのです。
ブレないことは、実は“小さくブレながらまた元に戻る”ということを繰り返す──規則正しいブレ、「振動」を持つことで初めて可能になります。メトロノームのような振動、一定の「リズム」を持つことが大切です。一定の範囲の中で繰り返す、波のように寄せては返す「波動」のリズムが望まれます。滑らかに連続的に調子が上がり、やがてピークに達すると、その後は次第に調子が下がり、そしてボトムになると、また上昇していき、元の位置に戻る、という動きです。
脳に心地よさが生まれ
心身が健康になる
こうすることで生活に「メリハリ」ができ、元気ハツラツが維持されます。メリハリとは、元は邦楽用語の「メリカリ(乙甲)」で、低い音を「減り(“減り込む”のメリ)」、高い音を「上り、甲(“甲高い”のカリ)」と称していたことに由来します。音の高低をうまくつけることでいいリズムが生まれ、その音楽は豊かになります。同じことがわれわれの体にも言えます。
「リズム」は、音楽の世界で使われることが多いですが、その場合、「耳で聞く」音の連続的な変化を、脳が「リズム」として認識しています。音楽に限らず声に出す言葉や目で読む文章、また、われわれの体の動き、運動競技や舞踏などでも使われます。
肌ざわりや舌ざわりなども、細かい触覚の変化のリズムですし、食べることも、食物を反復して噛む中で、さまざまな栄養素が取り出されそれを味わっているわけで、味覚のリズムだと思います。いずれもわれわれの身体が「聞く」「話す」「見る」「動く」「触る」「味わう」などの行為を行うことで得られた感覚を脳がリズムとして意識します。
ここで、それらの感覚が、ひとかたまりの一定のパターンとして「くりかえされる」ことが大切です。反復されることで、脳はそのくりかえしを記憶して、次にまた同じようなことが起こることを予測でき、その予測が見事に当たる、あるいは、ときには適度にうまく裏切られることで、なつかしさ、的中感(「どや!」感)、目新しさなどを覚えます。