かかったらどうする?
大人に特効薬はない
RSウイルス感染症の確定診断は一般的なクリニックや病院で可能だ。医師が疑わしいと判断した場合はコロナやインフルエンザ同様に鼻咽頭ぬぐい液を用いた迅速診断キットで検査をする。ただし大人では子どもより検出感度が低いので、問診によって判断する医師も多い。
大人がRSウイルス感染症にかかった場合、どのような治療をするのだろうか。
「子ども用の予防・重症化予防のための抗RSウイルス薬はありますが、残念ながらそれを大人に流用することはできません。なぜなら、子ども用に作られている抗RSウイルス薬はRSウイルスの複製そのものをブロックする薬ではなく、蛋白レベルで増殖をブロックする抗体薬だからです。これを免疫ができあがっている大人に投与すると、子どもと異なる反応が出てしまう可能性があります」
このような理由から、大人には特効薬はなく、解熱剤で熱を下げたり、咳止めを処方したりするなど、症状をやわらげる対症療法の治療を行うことになる。

RSウイルス感染症は炎症が強いため、肺炎にならないよう強めの抗生剤を処方されることも多い。肺炎になった場合は入院治療が1〜2週間続くこともあるので、おかしいなと思ったらできるだけ早く受診することが肝要だ。
RSウイルス感染症の予防には、インフルエンザと同様に、流水、石鹸での手洗いが推奨されている。さらに、アルコールによる手指の消毒と、ドアノブ、スイッチ、手すりなどのアルコール・塩素系消毒剤による消毒、マスクを組み合わせて行うことが重要だ。
「マスクは普通のサージカルマスクでよいでしょう。うがいにも一定の効果はありますが、確たるエビデンスはありません。あとは、人混みに近づかないことも予防策となります」