視界にチラチラ黒い虫やホコリ…「受診しないとヤバい」眼科医が警告する3つの“恐ろしい目の病気”写真はイメージです Photo:PIXTA

視界に虫やホコリのようなものが漂って見える飛蚊症。多くの場合、痛みも視力の低下もないので軽く考えてしまいがちだが、実は深刻な目の病気の前兆として現れる可能性もある。対処法や治療法を専門医に聞いた。(取材・文/フリーライター 楠本知子)

視界がチラチラ、うっとうしい
瞬きしても消えない…

「白い壁や明るい場所を見つめた時、糸くずや虫、ゴマ状の浮遊物が見えることがあります。この症状を飛蚊症といいます。浮遊物の大きさや形は人それぞれで、視線を動かしたり、まばたきや目をこすったりしても消えることはありません」

 こう話すのは、西葛西・井上眼科病院副院長の戸塚清人氏だ。

「眼球には『硝子体』というコラーゲン繊維と水分からなる透明なゼリー状の物質が詰まっています。何らかの原因でこの硝子体に濁りを生じる(硝子体混濁)と、その濁りの影が網膜に映し出され、あたかも浮遊物が飛んでいるように見えるため、飛蚊症を生じます」

 飛蚊症には、加齢など誰にでも起こる生理的な変化に伴って生じる「生理的飛蚊症」と、病気が原因の「病的飛蚊症」がある。

 硝子体は加齢に伴い混濁するため、飛蚊症が生じやすくなる。また、若いときは眼球内いっぱいに硝子体が詰まっているが、硝子体は加齢とともに水っぽくなり、容積が減ることで網膜からはがれてすきまができる。この現象を「後部硝子体剥離」と呼ぶが、はがれた硝子体の影が網膜に映り、飛蚊症として現れる。これらが生理的飛蚊症である。

 一般的に、生理的飛蚊症を自覚する年齢としては40代〜50代が多い。そして、60代になると急増する。また、近視が強い人は、そうでない人に比べて早い時期に生じやすい。

 ほとんどの飛蚊症は、前述のように生理的な要因で起こるもので心配はいらないが、恐ろしい目の病気の前兆として現れる場合もある。これが「病的飛蚊症」だ。代表的な病気は3つある。