家族を助けるべく
のぶが取った行動とは?

 さて。釜次の弟子・豪(細田佳央太)は大飯食らいなのでクビにしてくださいと申し出る。が、釜次はそんな冷たい人ではない。

 さあどうする?

 そこでのぶはヤムおじさんこと屋村(阿部サダヲ)のもとに走る。

 朝田家でパンをつくって売ろうと考えたのだ。彼のあんぱんは人を元気にする。いまののぶには元気が必要なのだ。

 だが、ヤムおじさんはやっと旅費が溜まって、再び旅立つところだった。

 必死で引き止めるのぶと嵩。でも「人生は思い通りにいかないもんなんだよ」と振り切って機関車に乗ってしまった。

 がっかりして駅のホームに座り込んでいると――。

 戻ってきた、ヤムおじさんが。やっぱり。そうでなくては。

 のぶと嵩が駅から帰らないで座っている時点で、戻ってくるのは予想できた。

 功利主義的に見えるが、たぶん、人情家のヤムおじさん。

 パンを作ってもいいが、売り上げの6割をもらうと言う。暴利であるが、のぶはそれに気づかず、それでいいと言い、ヤムおじさんは苦笑。1回だけだぞ、と引き受ける。

 二宮和也も松嶋菜々子も加瀬亮もいないいま、阿部サダヲだけが頼りである。

 阿部サダヲと女の子と男の子の組み合わせは、大ヒットドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ系 11年)を思い出す。独身会社員が亡くなった友人の忘れ形見である双子と犬を引き取り、慣れない子育てに奮闘するハートウォーミングな話だった。

 このときの阿部サダヲもぶっきらぼうだが人情家の役。放送開始時に6歳だった芦田愛菜、鈴木福、ミニチュアシュナウザーのムックがじつに愛くるしく、主題歌の「マル・マル・モリ・モリ」に乗せた阿部、芦田、鈴木のダンスも大人気となった。

 以後、ドラマのエンディングで俳優を踊らせる形式が増加した。『あんぱん』では踊らないけれど、阿部サダヲと子役の永瀬ゆずなと木村優来の3人の雰囲気がとってもいい。

【朝ドラ ミニ解説】
『あんぱん』では『おはよう日本』の朝ドラ送りと『あさイチ』の朝ドラ受けが盛んである。朝ドラ受けは朝ドラ後の番組で感想を語ることで、朝ドラ送りとは前の番組で次にはじまる朝ドラにバトンを送ること。

 今朝の『朝ドラ送り』は、墓石が倒れたことを気象予報士の桧山靖洋が「アンパンチ」に例え、『朝ドラ受け』では、ヤムおじさんが大事そうに抱えていたつぼの中身をパン作りに欠かせないイースト菌ではないかと博多華丸が予想していた。

「阿部サダヲ、やってくれた!」去ったはずの“ヤムおじさん”が駅で見せた神展開【あんぱん第7回レビュー】
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