
都心新築マンションを中心に外部管理者方式を取り入れるマンションが増えている。マンション管理については門外漢のMUFGグループの三菱UFJ信託銀行まで事業に参入し、市場としての盛り上がりも出てきた。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#23では、管理の担い手不足などの救世主ともなると期待されているこの外部管理者方式について、管理組合が実際に取り入れる場合のリスクと注意点を詳細に見ていこう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
新規参入でも5年で1万戸受注へ勝算あり!
MUFGが満を持して外部管理者方式に参入する理由とは?
現在主流の理事会管理方式に対する「令和の解決策」として注目されるマンション外部管理者方式(第三者管理方式から名称変更)。事業を担うマンション管理業界に、門外漢の超大型ルーキーが現れた。MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)の三菱UFJ信託銀行だ。2025年度から外部管理者サービス「PROTHIRD」事業を開始する予定で、デベロッパー複数社が開発する新築マンションですでに契約を確保している。
「MUFGが参入する理由と意義が十分ある事業と判断した」と三菱UFJ信託銀行法人マーケット統括部不動産事業室の児山高広氏は言い切る。不動産スタートアップとの共同事業とするほか、マンション管理士資格保有者や法律家などの専門家をそろえた。管理状態は組合員がいつでもアプリで確認できる仕組みで、「5年後には1万戸の契約を狙う」と児山氏は自信を示す。
高度化するマンション管理に、専門知識のない素人理事がボランティアで対応する仕組みである現在主流の理事会管理方式。これに対する「令和の解決策」として注目されるのが、外部管理者方式である。管理組合からの注目度も高く、大手のマンション管理会社が軒並み参入済みだ。その中なぜ、MUFGが参入しようとしているのか。実は現在普及途上にある外部管理者方式に、さまざまな問題点があり、そこに同社が参入するビジネスチャンスがあるからなのだ。
国土交通省によるガイドラインの整備もされたものの、そこには抜け落ちているところも指摘される。将来的な法制化の検討も始まり、現在の理事会管理方式に代わる方式として期待も大きい外部管理者方式。だがある条件下では、住民をないがしろにする利益相反が起こるリスクも指摘されている。具体的にはどのように対策すればいいのか。その問題点や今後について、次ページからじっくり見ていこう。