
アメリカのドナルド・トランプ氏の大統領復権で脱炭素が逆回転している。日本企業は脱・脱炭素時代にどう動くのか。2022年度、国内産業部門の二酸化炭素排出の38%、国全体の二酸化炭素排出の13%が鉄鋼業。長期連載『エネルギー動乱』内の特集『脱・脱炭素の試練』の本稿では、地球環境が専門であり社内外で要職を担う、JFEスチール専門主監の手塚宏之氏のインタビュー後編をお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
鉄のゼロカーボンへ
どの技術かは現在予見不能
――世界の脱炭素の流れに変化があり、鉄鋼業界のカーボンニュートラル対応の施策やスピード感にも変化は生じるのでしょうか。鉄鋼製造プロセスの脱炭素化では、電気炉法、水素活用、CCS(二酸化炭素を地中深くに駐留する技術)など、研究が進んでいます。
もともと「鉄のカーボンニュートラルって時間がかかりますよ」ということは言ってきています。「本当にできるかどうかはいろいろな条件が整わなければできませんよ」ということも。
2030年にはゼロカーボンのものができる、とは言っていません。今よりはグリーンなものを作りながら、30年以後に一気にゼロカーボンに持っていくための武器を整えます。
ただし、どの技術でいくかは今の段階では予見できません。なぜ予見できないか。