(3)PDCAの運用スキル
 会社は「経営理念 → 中期ビジョン → 中期経営計画 → 年度計画/目標 → 部門計画/目標」という一貫した流れを持っています。管理職は部門目標を担い、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回して成果を出す役割を果たします。

 しかし、この流れが分断されると、個人やチームの努力が組織全体の成果に結びつきません。特に多いのは、中期経営計画と部門目標、個人目標のPDCAが連動していないケースです。この状態では、個人が目標を達成しても、部門や会社全体の成果に貢献できず、ビジョン達成が遅れてしまいます。

 理想は、「個人の成果 → 部門目標 → 中期計画 → ビジョン → 理念」という一貫性のある流れを構築することです。この仕組みを実現するには、管理職が全体設計を理解し、会社の方向性を見据えた上でPDCAを運用するスキルを持つことが必要です。

カリスマ的な魅力に目を奪われてはいけない

 優れた成果を生み出す管理職には、「視座の変更」「問題解決スキル」「チームのPDCA運用スキル」が求められます。プレイヤーとは全く異なる視点とスキルです。

 もしあなたが管理職を任命する立場にあるなら、カリスマ的な魅力や特別な才能だけに目を奪われるのではなく、リーダーとしての本質を理解し、部下が成果を上げられる環境を整えることに力を注げる人材を選ぶべきです。

 一方で、あなたが管理職を目指しているなら、視座を「個人」から「チーム」、さらに「会社全体」へと広げる努力が必要です。同時に、問題解決力や、チームのPDCA運用のスキルを磨くことで、真のリーダーとしての成長が可能になります。

 社内において、役割と責任を明確に理解した管理職が増えることで、個々の力が結集し、組織全体としての推進力が大きく向上します。その結果、会社のビジョン実現が着実に近づき、持続的な成長を遂げることが可能となります。

 会社が成長を望むのであれば、管理職の役割と責任を明文化し、さらに必要な視座やスキルを具体的に定めることが不可欠です。その上で、計画的かつ継続的に管理職を育成する仕組みを構築し、組織全体でその取り組みを支えるべきです。

 優れた管理職を育てることが、未来志向の組織基盤を築く最善の方法であり、事業拡大の最大の原動力となります。これまでの方法にとらわれず、管理職の任命や育成に新たな視点を取り入れてください。それが、会社全体の進化と成功を確かなものとする第一歩となるでしょう。