
想定以上の規模、高税率の相互関税
「90日間停止」でも暗雲は残ったまま
米トランプ政権が打ち出した相互関税は予想された以上の規模、高税率であり、具体案が公表された4月2日以降、世界の金融市場は激しく反応することになった。相互関税が発動された9日にはダウ工業平均なども急落、株式やドル、米国債など米国自体も「トリプル安」となった。
トランプ大統領は発動から一夜明けた4月10日、SNSを投稿し、一律10%関税は続けるものの、日本への24%関税を含む約60カ国・地域を対象にした上乗せ関税は「90日間、一時停止」することを表明した。いったんは金融市場を沈静化させることを優先したようだ。
だが報復措置を発動した中国に対しては、当初からの累計で145%まで引き上げ、これに対して中国も125%まで引き上げて対抗するなど強硬姿勢を見せ、米中間の貿易戦争による世界経済への影響は予断を許さない状況だ。
日本に対する24%の相互関税も想定以上の厳しさだ。金融市場では、相互関税発表へのカウントダウンが始まる中でも、トランプ大統領の本気度を疑っていたし、今後の交渉余地を残すために一定の配慮が行われるとの期待感が残っていたため、具体案発表直後の金融市場の大混乱につながった。
トランプ大統領は、今後90日間で、相手国が米国の貿易収支改善につながる対応をすることで「取引(ディール)」の余地があるという考えを示している。政府は、赤沢経済再生相が訪米、16日にトランプ大統領らとの会談が行われ、自動車への25%関税の撤回を含め見直し交渉を始めたが、石破首相は「日米の間にはかなり隔たりがある」と語り、事態打開のめどは立っていない。
今後、相互関税が再び発動ということになれば、日本経済は「3つの段階」で悪化が懸念される。