4話全てがワンカット撮影
連行→取り調べの“様子”だけでも飽きない

「アドレセンス」で特筆すべきなのはまず、4話すべてがワンカットで撮影されていることだろう。ワンカット風に見せているわけではなく、本当にワンカット撮影だというから驚く。Wikipediaを見ると、それぞれのエピソードに何テイクかけられたのかを確認することができる。

 1話目の冒頭は、捜査官がミラー家に突入する早朝の場面から始まる。ミラー家には、殺人容疑のかかっている13歳のジェイミーと、その家族(両親と姉)がいるのだが、全員が動揺し、父親のエディはこれは何かの間違いだと繰り返す。

 ここからジェイミーが警察署へ連行され、取り調べを受けるまでの様子がワンカットで撮影されている。取り調べを受ける容疑者が警察署でどのような扱いを受けるかが細部に至るまで描かれている。逆に言えば、1話目はこの一連の様子がほとんどであり、事件の背景などはまだほとんどわからない。言ってみれば「それだけ」なのだが、ワンカット撮影での緊迫感が見る者を飽きさせない。

 まず逮捕される前に捜査官が、ジェイミーには黙秘権があるが、発言はすべて証拠として提出されることを告げる。連行される車の中では、「僕は何もしていない」と泣くジェイミーに対して捜査官が「その話は署についてからだ」「署に着くまでは何も言わないように」と告げる。この場で何かを話させることが違法な取り調べになりかねないからである。

 さらに捜査官は「提案」として、質問を受ける前に弁護士を頼むことや、取り調べにあたって「適切な大人」を選ぶことができるとジェイミーに説明する。

 車にはすでに福祉局から来た男性職員が同乗しており、彼が当座の「適切な大人」を務めることや、取り調べにあたってはジェイミー自身が「適切な大人」を選ぶことができ、それは両親のどちらかでも良いことが説明される。「適切な大人」とは、未成年者が取り調べを受ける際にそばに付き添う成人である。

 続く警察署の場面でも、「容疑者の権利」あるいは「未成年の容疑者の権利」に気を遣った配慮がなされていることがわかる。