プレゼンでは常に対話の姿勢を持つことが必要。話題の書籍『対話するプレゼン』の著者、岩下宏一は、「プレゼン後の質疑だけでは、不十分な場合があります」と言います。本記事では、プレゼンの場を「一方的に説明する場」から「対話の場」に変えることを提案した『対話するプレゼン』より、本文の一部を抜粋・加筆・再編集してお届けします。

プレゼンが上手な人は、常に相手に問いかけている
不慣れな人は「プレゼンはこちらから朗読のように読み上げるもの」と思ってしまいがちです。
しかしそれは思い込みです。
プレゼンに慣れている人は、説明の前から相手にいろんな問いかけを行い、プレゼンの場を「対話の場」に作りこんでいくのです。
ここでは、会議室などで行われる、商談や企画提案といった「テーブルプレゼン」を想定して読んでみてください。
プレゼン前に問いかける
開始前から相手にいろんな質問をし、対話的な空気を作っていくことが可能です。
・名刺交換で相手の名前の読み方を確認する
・オフィスで目についたものについてちょっとした質問をする。(あの絵はきれいですね、社長様のお知り合いのもの、とかでしょうか。など)
・話しやすい話題について尋ねる(相手企業のニュースリリースなど)
・打ち合わせの終了時刻を確認する
・本題に入る時に目次を見せ、それに沿って話すか、相手の関心ごとから先に話すかを確認する
これらはすべて、相手に問いかけ、何らかの反応をもらうことで軽い対話が生まれるものです。
対話のサイクルをまわし始めることができますから、丁寧に明るく行いましょう。
プレゼン中も問いかける
節目節目でこちらから積極的に問いかけることで、相手の理解が追いついていない部分や、プレゼンを聞いている中で生じた疑問を早めに拾うことができます。
「ここまで大丈夫でしょうか」
「何かご質問はないでしょうか」
「いままでのところでご不明なところはないですか」
「次に進んでよろしいでしょうか」
資料が章立てになっている場合は各章ごと、そうでない場合は2~3ページに1回程度の節目で問いかけを行うと良いでしょう。
このタイミングでの問いかけが、相手との対話を深める鍵になります。
プレゼン後も問いかける
そしてプレゼン後には、あらためて質疑の時間をとりましょう。
「以上が今回のご提案です。ご質問はないでしょうか」
「お尋ねになりたいことなどあれば、ぜひ伺わせてください」
相手からいただいている時間が終了するまでに、相手の感想や疑問をすべて出してもらうことを心がけましょう。
プレゼンは朗読や発表ではなく対話です。
自分が用意したものにとらわれず、対話の中から、お互いが目指すことのできるより良い未来を具体的にイメージできるようになれば、そのプレゼンはもっと素晴らしいものになります!