成功するプロダクトを生み出す
組織戦略3つのポイント

 社内ガラパゴス化を乗り越え、成功するプロダクトを生み出すためには、どのような組織のあり方が求められるのでしょうか。新規プロダクト事業を成功させる組織戦略には、3つのポイントがあります。

 1つは、迅速な意思決定が可能な組織づくりです。

 新規事業を推進するには、トップとの距離が近く、スピーディに決断できる環境が必要です。現場に権限を委譲し、フラットでオープンな組織文化にすることによって、アイデアが即行動につながり、成長の機会を逃さない仕組みが実現します。

 2つ目は、挑戦する人材を採用し、イノベーション文化を浸透させることです。

 既存の常識を疑い、過去の成功体験に縛られず学び直す(アンラーン)姿勢を持つ人材は、新規事業の成功に不可欠です。こうしたメンバーの考え方や行動様式を組織全体に広げれば、新規事業推進の基盤となります。また社内に閉じず、外部ネットワークと連携して、組織全体で変革を推進することも求められます。

 3つ目は、長期的な変革を見据えた仕組みの構築です。

 新規事業は一度の成功で終わるものではなく、会社全体に広げていく仕組みが必要です。単発の取り組みで終わらせず、持続的な成長を実現するための組織設計を意識すること、成功の経験を蓄積し、次の新規事業へとつなげる体制を整えることが重要です。

 実際の成果につながらない典型例としてよく見られるアイデアコンテストも、社内の活気を高め、創造的な雰囲気を生み出すには有効ですが、事業化につながらなければ単なるイベントで終わります。具体的なプロジェクトとして継続的に育てられなければ、組織としての成長には結びつきません。だからこそ、私は厳しく「新規事業ごっこ」と表現しています。