
「運動神経が悪い」と自分を卑下したり、周りにからかわれたりした人はごまんといるだろう。運動のできなさを自分で笑えるくらい開き直れれば良いが、そういう人ばかりではない。体育の授業などを通じて、ますます嫌いになってしまう子どもも少なくない。運動神経が悪い人は、どうやって運動と付き合っていけば良いのか。(ダイヤモンド・ライフ編集部 宝金奏恵)
体育の授業は「地獄」
私は子どもの頃から「運動神経が悪い」と言われ、親に嘆かれた。幼稚園の徒競走では、ピストルが鳴っても前に走り出さず、突っ立っていたタイプだ。
もっとも嫌な思い出は、小学校の走り高跳びの授業だ。
クラス全員が並んで順番に飛んでいくのだが、私だけいくら飛んでもバーを落としてしまう。トラウマで記憶が歪んでいる可能性もあるが、1回も成功しなかった気がする。半泣きで家に帰って、ベッドの前にひもを結び、廊下から走って飛ぶ練習を何度もした。
しかし、狭い廊下の壁にぶつかり、つまずきながらベッドに飛び込む自分の姿が滑稽で、「体育のない学校に行きたい」と本気で思った。実際、その後の進路でも「運動部が熱心でない学校」を選んだ。
「運動神経が良い人」は信じられないかもしれないが、バスケのシュートは大概外れ、25メートルも泳げない私にとって、体育の授業は地獄だった。
体育の授業を受けなくなってウン10年、私はハッピーだが、今も運動神経が悪い子どもたちにとって、体育の授業は「地獄」なのだろうか。
子どもの運動指導を行っている専門家に話を聞くと、「地獄」から抜け出せる考え方のヒントがあった。