新規事業を成功に導くには、単なるアイデア創出だけでなく、ここに挙げた3つの要素を実現できる環境を整える必要があります。組織が柔軟性を持ち、挑戦を奨励し、持続的な成長を可能にする仕組みを備えれば、新規事業は「ごっこ」ではなく、企業の未来を形作る力強い成長エンジンとなるはずです。

「出島」か「統合」か
新規事業の組織戦略を考える

 新規プロダクト事業を成功させるため、組織の中に新たな視点を持ち込むには、社内の枠に囚われずとらわれず変革を推進できる「ミュータント」人材と、外部からの視点を取り入れて新しい発想を生み出せる「エイリアン」人材が必要です。

 ミュータントとは、社内のルールや文化を理解しながらも、その枠を超えて変革を起こすことができる人材。周囲からはしばしば「変わり者」や「異端児」と見られることが多いですが、その視点や発想が新規事業の推進には欠かせません。

 エイリアンは、他社での経験や異業種の知識を持つ中途採用人材を指します。既存の企業文化に染まらず、外部の視点を持ち込むことで、新規事業において独自のアイデアや市場アプローチを提供する役割を担います。

 このような人材を活用するには、大きく2つのアプローチがあります。1つはミュータントやエイリアンを独立した「出島」組織に配置し、自由度の高い環境で革新的なプロダクトを開発させる戦略。新規事業を本体とは切り離しつつ、外部との接点として機能させる手法です。

 もう1つは、彼らを本業に「統合」し、既存のリソースやシナジーを活かしながら組織の変革を促す戦略です。新規事業を本業の一部に組み込み、企業が持つアセットを最大限に活用して成長させる手法です。

 どちらを選択するかは、企業の事業戦略や市場環境、成長フェーズによって異なります。