受注停止が長期化する中、「本来なら大規模改良を行ってもいい時期なのに、初期型すら作れていないのでは時代遅れになる」と危惧する声が、販売現場のみならず日産社内からも出ていた。初期モデルの投資回収を諦めてでも、改良を行うべきだったと考える。

 こうしたボーンヘッドの背景には、アリアを新生日産のアイコンにする初志を完徹できず、簡単になかったことにしてしまうボードメンバーの意志薄弱ぶりがあったと言っていい。開発陣が渾身の力を振り絞ったアリアは、間違いなくいいクルマだった。経営判断の誤りが悔やまれるばかりだ。

 日産が、商品力を軸としたブランドパワー復活を目論むなら、こんな失態は二度と繰り返してはならない。

日産アリアB6のサイドビュー日産アリアB6のサイドビュー Photo by K.I.
先行車、対向車を避けて照射するアクティブハイビームが仕込まれたヘッドランプ先行車、対向車を避けて照射するアクティブハイビームが仕込まれたヘッドランプ Photo by K.I.
オプションのグラストップテスト車にはオプションのグラストップが備えられていた Photo by K.I.
プロパイロット2.0プロパイロット2.0。青表示の時はハンズオフ(手放し)ドライブが可能 Photo by K.I.
日産アリアB9 e-4ORCE limited日産アリアB9 e-4ORCE limited。デザイン的には全グレードほぼ変わらない Photo by K.I.
一見シンプルだが車内に差し込んだ光が微妙な陰影を作る凝ったインテリア造形一見シンプルだが車内に差し込んだ光が微妙な陰影を作る凝ったインテリア造形 Photo by K.I.
住宅の居間のごとく心地良い居住感だった住宅の居間のごとく心地良い居住感だった Photo by K.I.