
ChatGPTをはじめとする生成AIの進化は、ホワイトカラーの代表格たるコンサルタントの仕事すらも大きく変えつつある。市場リサーチや資料作成といった業務は、もはやAIが“瞬時に”代行可能となりつつある今、果たしてコンサルティングファームの人材は、どのような価値を提供し続けられるのか。自身もコンサル出身であり、コンサル業界の転職事情・キャリア形成に詳しいヘッドハンターの奥井亮氏が、これからのコンサルティングの価値と、求められる人材像を読み解く。
「社内AIコンサル」を活用する企業も
これからのコンサルは何をすべきなのか?
まず結論から言えば、AIによってコンサルが消滅する、とは考えにくいです。
コンサル業界はこれまで、時代のトレンドを掴み、もしくはトレンドを作り出すことで、クライアントに新しい視点を提供する役割を担ってきました。戦略策定支援から始まり、業務改革やコスト削減の推進を経て、IT導入支援、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)と、時代ごとに提供価値を進化させてきました。
確かに今回の生成AIや大規模言語モデル(LLM)がもたらすインパクトは大きく、これまでコンサルティングファームが価値の中心としていた情報の非対称性は揺らぐものの、「全てAIで完結するから、コンサルは不要」とまでは至らないはずです。
ただし、コンサルの仕事はAIに代替されやすい部分が多く、コンサルのあり方そのものを変えるという点では、これまでの変化とは異質なものであることもまた事実です。
大規模な業界リサーチや分析の初期フェーズは、すでにChatGPTなどのAIツールである程度のアウトプットを得られるようになっています。特に知的作業のうち、「反復的な情報収集や整理」といった部分は、今後さらにAIに任せやすくなると考えられます。
つまり、コンサルティング業務の中で「人間がやる価値が薄い作業」は急速に置き換えられる可能性があるのです。