自分の「人生の目標は何なのか」ということを突き詰めて考えましょう。私自身は医師の専門を決めるとき、小さい子どもたちを病から回復の道につなげていく診療をすることが人生の目標でした。そして最終的に診療科を決断する際に、「小児科」と「耳鼻科」が自分の目標に最も近いと思ったのです。

 今ならもっとたくさんの診療科が該当するのですが、数十年前のことですからね。どちらの診療科を選ぶかギリギリまで悩んでいたのですが、腕利きの仲間がたくさんいたことから、診療科(耳鼻咽喉科)、そして勤務先の病院を決めました。「人生の目標」と言ってしまうと堅い印象ですが、自分の好奇心がどこにあるのか、もっと平たくいうと「心ときめくものが何か」ということです。これが自分に合う会社を選ぶ、最も重要なポイントです。

 その際、「大手企業だから××で働きたい」「テレビ局にときめきがある」、という基準はNG。その企業の中に自分にとってときめく企画や、ときめく人がいるかどうか。就活のときに「すごく目が輝いている社員の人を見た」でもOKです。応募する会社ならではのときめき、魅力がないと、入社後に「やっぱりあの会社がよかったな……」と浮気ばかりになってしまいます。ときめきがないままに入社すると、現実と理想の自分とにギャップを感じやすく、早期退職にもつながります。すぐに辞めてしまうのです。

「入社後3年以内の離職」を
食い止めるには

 最近、医療業界に限らず、入社して3年以内の離職率が高いようです。

 実際に入社すると、誰でも壁にぶちあたるときはあると思います。「人生の目標」が遠すぎてよくわからなくなり、ときめきがも消えるとき時もあるでしょう。若い人が職場で悩んで落ち込んでいるとき、私からは「明日は今日より少しでも良い自分を目指そう」と提案します。たとえ気力が落ちたとしても、次の日はほんの少しだけでも、今日よりも良い自分に持っていくことを目指す。

 このとき、「ねばならない」思考は自分を追い込んでしまうからダメですよ。ただ、今日よりも少しだけいい自分のために、小さな壁をクリアすればいいのです。日々それを繰り返していくうちに、「このままここで頑張っていこう」という気持ちが芽生え、ときめきが湧き上がるタイミングがくるかもしれません。

 気力が回復したら、今の職場で「心・技・体」を磨くにはどうしたらいいか、改めて考えてください。とても回復できない、もう今すぐ職場を辞めたい気持ちでいっぱいだ……。次回は、そんな人が今すぐできる、心を軽くする術をお伝えしましょう。

※次回は5月6日(火)に配信予定です。