夕方の定例会議、コアタイム内に変えることはできない?

森川「でも、うちのコアタイムは11時から3時までですよね?フレキシブルタイムの働き方は自由かと……」

飯尾「まぁ、そうだけど」

森川「夕方は家庭の事情で家にいたいので、いつも早い時間から仕事を始めて調節しているんです」

飯尾「そうか。それなら、定例会議には出なくていいよ」

森川「えっ、どういうことですか?」

飯尾「大変なんでしょ。だったらいいよ。あとで議事録に目を通しておけばいいから」

森川「そんな……私は必要ないっていうことですか?時間を見直してほしいと言っただけで仲間外れだなんて。それってハラスメントじゃないですか?」

飯尾「ハラスメントだって!?」

 森川はそう言うと、うつむき加減にその場から立ち去ってしまった。

 一方、飯尾も、部下から「ハラスメントではないか?」という思いもよらない指摘を受けて戸惑いを感じていた。そこで社外の専門家である社労士のカタリーナに相談してみることにした。カタリーナは、歯に衣着せぬ物言いで相談者に愛のムチを入れる、ちょっと風変わりな社労士だ。

フレックスタイムは「始業・終業時刻を労働者の意思に委ねる制度」

カタリーナ

カタリーナ「こんにちは、社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」

飯尾「困ったことになりました。部下からハラスメントじゃないかと言われてしまって」

 飯尾はその日の森川との出来事について、カタリーナに詳しく話を伝えた。

カタリーナ「なるほど。それで困っているのね。フレックスタイム制は、始業・終業時刻を労働者の意思に委ねるという制度だということは分かっているわよね?」

飯尾「もちろんです」

カタリーナ「コアタイム外に業務命令を出すことができるとなれば、フレックスタイム制の趣旨を害してしまうことになるわ。だから本来、コアタイム外の特定の時間に業務命令を出すことはできないのよ」

飯尾「建前はそうかもしれませんよ。でも、弊社のコアタイムが11時から15時までと短いじゃないですか。取引先との打ち合わせだって、先方の都合で夕方から始まることもありますし、この時間帯以外に業務命令が出せないとしたら、仕事を回すことなんてできませんよ!」

カタリーナ「まぁ、落ち着いて」