トヨタ、ホンダ、日産は米国生産へ注力
アップルはiPhone緊急空輸で在庫積み増し

 報道にもあるとおり、すでに自動車大手は米国生産への切り替えや増産を検討するなど、対処を決定し始めている。トヨタ自動車は米国で最も売れているSUV「RAV4」の新型モデルを米国生産することを検討中で、ホンダは「シビック」のハイブリッド車を米国生産に切り替えると決めた。日産自動車は米国での生産縮小を見直している。

 経済学者はトランプ関税を批判しているし、実際これがバカげた政策であっても、実業側からすると一刻を争う事態である。環境の変化に柔軟に対応して、米国生産に注力するしかない。米ゼネラルモーターズだって米国外からの輸入を減らす方針を立てたほどだ。

 電子機器関係はどうか。米アップルは、米国販売するiPhoneを米国生産に切り替えるのは難しいものの、中国生産からインド生産に切り替えようとしているという。また、緊急措置としてチャーター機を動員し、iPhone150万台を急ぎ空輸して米国内の在庫を積み増したそうだ。

 半導体の受託製造で世界最大手である台湾TSMCは、関連各社と共に米国内での工場投資を検討しているという。ただし、半導体製造装置のメーカーらは特殊部品の切り替えによるコスト増が大き過ぎると訴えているそうだ。

トヨタ系列サプライヤーの決算
26年3月期への見解がバラバラの実態

 4月末、トヨタ系列の大手サプライヤーは決算ラッシュとなった。25年3月期の結果もさることながら、やはり注目したいのは今後の米国市場や為替をどこまで盛り込んだか、26年3月期に向けた予想である。

 デンソーの25年3月期決算は売上収益が7兆1618億円(前期比0.2%増)、営業利益が5190億円(同36.4%増)、純利益が4191億円(同34.0%増)だった。円安効果があったとはいえ、採算改善と合理化の成果もあり、電動化と自動運転へのシフトも明確だった。

 アイシンの25年3月期は、売上収益が4兆8961億円(前期比0.3%減)、営業利益は2029億円(同41.5%増)、純利益は1075億円(同18.5%増)とこちらも大幅増益だった。