東京国立博物館の規約と公式見解
東京国立博物館の規約には確かに「(撮影可能な展示物でも)複製配布および商業利用を目的とする撮影はご遠慮ください」と書かれている。しかし、これは「『撮影した写真自体の複製』を配布、あるいは商業利用すること」を禁じているのであって、写真を元にしたミニチュアモデルは「複製」の範疇(はんちゅう)に含まれていない。また、写真の場合でも、家族や親しい知人などにプリントして渡すことは先の私的利用の範囲となり、規約には抵触しないのである。

また、仮に「複製」の概念を写真ではなく物体に拡大した場合には、文化財保護法46条の文化財の複製に関する記述が関係してくるだろう。それは「原作品の形状を『精密に』再現する場合」に「文化庁長官の許可を受ける必要」が出てくる可能性があるというもので、言い換えると、文化財の保存に影響を及ぼすような計測やスキャンの作業を防ぐとともに、偽造品を作らせないための規定と考えられる。たとえば、博物館などが文化財の精密な模造品を作って展示したいというような場合に、許可が出れば行えるということだ。
しかし、埴輪のデジタル民芸品は、サイズが小さく、ディテールも正確に再現されているわけではなく、1枚の写真から(つまり、見えない箇所は生成AIの推測によって)作られているので、この文化財の複製にも該当しない。
最も確実なのは東京国立博物館自体の見解であるため、筆者は直接連絡を取り、上記のことにも触れながら、写真からミニチュアを作ることが規約違反になるかを確認してみた。すると、以下のように明快な回答が得られた。