
米ハーバード大学のアラン・ガーバー学長の双肩には、高等教育の重みがのしかかる。
国内最古で最も裕福な大学のトップを務める同氏は、米国の大学を作り変えるドナルド・トランプ大統領の取り組みへの抵抗を主導している。トランプ氏がこれまで講じた手段には、何十億ドルもの研究助成金の停止や、外国からの資金や留学生の調査、長年続いてきた大学の免税資格を取り消すという脅しなどがある。
ハーバード大はこれに反発している。反ユダヤ主義への大学の対応を巡る交渉で突きつけられた要求をはねつけ、トランプ政権が20億ドル(約2900億円)余りの政府助成金を凍結したのに対し、 同政権を提訴した 。何らかの和解が成立しない限り、両者は夏には法廷の場で争うことになる。トランプ政権は5日、さらに対立を激化させた。リンダ・マクマホン教育長官が同大に 新たな連邦助成金の提供を行わない と通知する書簡を送った。
医師で経済学者でもあるガーバー氏は最近、ニューヨークでウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエマ・タッカー編集局長のインタビューに応じ、アイビーリーグの名門大学がなぜこの状況に至ったのか、この先いかなる展開があり得るのかを語った。
インタビューの主な内容は以下の通り。
ハーバード大の学生は意見の違いを心地よく思わなくなった
ガーバー氏が学部生として初めて足を踏み入れた1973年当時、ハーバード大は「人々が自由闊達(かったつ)に議論する場所」だったという。同氏やクラスメートは幅広い視点を持つ人々と交流し、とりとめもないおしゃべりをした。
「喜々として互いに議論していた。その時間が私を形作り、当時そこにいた全ての人を形作ったと思う」