総予測2025#29

特集『総予測2025』の本稿では、長らくホワイトハウスで要職を務めた米ハーバード大学ケネディ行政大学院のロジャー・ポーター教授を直撃。ブッシュ政権時に大統領補佐官を務め、1977年からハーバード大学の教壇に立つ看板教授のポーター氏に、米大統領選挙の背景やトランプ次期大統領の経済政策の評価、政権運営見通しや日本企業への助言に至るまで、自身の考えを明かしてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

元ホワイトハウス高官が
トランプ氏の経済政策を大分析

――ハーバード大学で「The American Presidency(米国の大統領)」という授業を担当する教授として、米国政治の行方を占うべく、まずは米大統領選挙の結果をどのように分析していますか。

 今回(2024年11月5日)の米大統領選は、多くの点で異例でした。何しろ、選挙中のほとんどの期間、候補者は現職の大統領(ジョー・バイデン氏)と元大統領(ドナルド・トランプ氏)であり、このような事態は1892年以来のこと。選挙まで107日を残した時点で、バイデン氏は党内から相当な圧力を受けて撤退し、カマラ・ハリス副大統領が民主党の指名を勝ち取りました。

ロジャー・ポーターRoger B. Porter/1977年より米ハーバード大学ケネディ行政大学院で教壇に立つ。89~93年ブッシュ米大統領補佐官、レーガン政権下では政策開発局長など長らくホワイトハウスの要職を歴任。

 前世紀の米大統領選において、支持率が45%未満の現職の大統領は敗北し、現職の副大統領候補は5回中4回敗れています。トランプ氏は、2016年と20年の出馬時と比べてヒスパニック系や黒人、女性有権者の支持を集め、支持率は拮抗していたものの、激戦7州の全てを制することになりました。

――これまでホワイトハウスで、長らく経済政策関連の要職を務めてきました。トランプ政権が打ち出している経済政策をどう評価しますか。

次ページでは、ブッシュ政権時の米大統領補佐官を務め、1977年から名門ハーバード大学の教壇に立つ看板教授のポーター氏が、トランプ次期大統領の経済政策を評価するほか、米大統領選の背景をさらに深掘り。他にも、イーロン・マスク氏がトップに就く予定の新組織「政府効率化省(DOGE)」が与える影響や、悩める日本の企業経営者への助言に至るまで、自身の見解を余すところなく語った。