academic freedom:学問の自由

トランプ氏のエリート大学敵視で頭脳流出の恐れ、米国は戦前のドイツと同じ運命に?

 米国が長らく競争力の源泉としてきた「学問の自由(academic freedom)」が脅かされている。トランプ米政権がハーバード大学を筆頭にした米エリート大学に対する敵意をむき出しにしているからだ。

 かねて分かっていたことでもある。昨年の米大統領選挙期間中、トランプ米大統領はエリート大学をやり玉に挙げ、「気の狂ったマルクス主義者(Marxist maniacsand lunatics)の巣窟」と断じていた。

 そんな中、名門ハーバード大が反旗を翻した。トランプ政権から突き付けられたさまざまな要求を拒絶し、「学問の自由」を守る方針を鮮明にしたのだ。要求の中には、DEI(多様性・公平性・包括性)政策の廃止や学内デモでのマスク着用禁止などが含まれていた。

 4月中旬に出した声明の中で、アラン・ガーバー学長は次のように強調している。

The University will not surrender its independence orrelinquish its constitutional rights. No governmentshould dictate what private universities can teach,whom they can admit and hire, and which areas ofstudy and inquiry they can pursue.( われわれは圧力に屈しないし、憲法上の権利も放棄しない。何を教えるのか、どんな学生を受け入れるのか、どんな職員を採用するのか、何を研究するのか――どれも私立大学の自由。政府は介入してはならない。)