
ユニバーサル・スタジオ・ドバイは
なぜ計画が中止に追い込まれたのか
実はかつて、「ユニバーサル・スタジオ・ドバイランド」を建設する計画がありました。2007年5月、ドバイ国営会社タトウィールが発表しています。敷地面積60万平米と世界最大規模で、当時開発中の「ユニバーサル・シティー・ドバイ」プロジェクト(総投資額22億ドル、当時の為替で約2200億円)の中核施設になる予定でした。
このプロジェクトは4000室の高級ホテルやレストラン100店舗、ショップ、オフィススペースなども計画していましたが、16年10月、正式に中止されました。08年のリーマンショックと09年のドバイショックの後、不況が長引いたことが理由のひとつです。
このように計画発表後も、リーマンショック級の経済危機がひとたび起きれば、ドバイでも計画中止に追い込まれるのです。
ビジネスモデルに懸念点や死角は?
外国人誘客や宗教問題にリスクあり
中東では国王や皇太子が主導し、国家の威信をかけた巨大プロジェクトを推進しています。それは建設至上主義と言えるほどで、ドバイやアブダビのテーマパークも開業後、質の高い運営やホスピタリティに関しては改善の余地が大いにあると思います。
そしてUAEのテーマパークは、外国人、特に富裕層をどれだけ誘客できるかにかかっています。この点が米国、日本、中国のディズニーランドと大きく異なる点です。
今でこそ東京ディズニーリゾートの訪日外国人客(インバウンド)が爆増していますが、開業当初の計画では自国民の誘客を第一に考えていて、今のようにインバウンドの誘客は考えていませんでした。なお、中国では自国民を誘客できれば、インバウンドは少なくてもビジネスは成立します。
ディズニーランド・パリは、当初からイギリス、西ドイツ(当時)、イタリア、オランダ、スペインなどから誘客する計画でした。そのため西欧の主要都市から、クルマや電車でアクセスが良い立地を選んでいます。
アブダビのディズニーランドに関しては、ディズニー社が「UAEは世界人口の3分の1が飛行機で4時間以内に訪問できる」と説明していることから、これまでとはまた違った新しいビジネスモデルに挑戦しようとしていると理解できます。