
止まらない物価上昇に悲鳴を上げるカリフォルニア州住民たちが、価格の安さを求めて殺到する、大人気のガソリンスタンドとは?(取材・文・写真/ジャーナリスト 長野美穂)
LAから車で3時間半の砂漠地帯に
大人気のガソリンスタンドがある
カリフォルニア州ロサンゼルスから大渋滞の高速道路を、ひたすら東に向かって3時間半ほど運転すると、ランチョ・ミラージュという砂漠の街に着く。
見渡す限り白茶けた砂地とサボテンの荒涼とした土地。そこにあるのが「アグア・カリエンテ」という名のガソリンスタンドだ。
カリフォルニア州民の間で大人気のスタンドで、その理由はガソリン価格の安さにある。
ガソリン価格は、たとえば、ロサンゼルス市内のスタンドではレギュラーで現在1ガロン当たり5ドルが相場だ(ガロンはアメリカで使われる液体の体積の単位で、1ガロンは約3.8リットル。日本の皆さんに相場が分かりやすいように計算すると、1ドル=147円として、1ガロン=約735円。つまり、1リットル=約193円となる)。
しかし、ここ「アグア・カリエンテ」では取材当日には3ドル57セントで売られていた。
つまりLA市内と比較すると1ガロン当たり、1ドル43セントも安い計算になる。
しかも、このスタンドではクレジットカードで払っても、現金で払っても全く同じ価格設定だ。
物価高騰が止まらない米国で、このガソリンの安さは嬉しい。
たとえば、米国で人気のGMシボレーのシルベラード・トラックの26ガロンのタンクを満タンにするのに、LA市内のスタンドなら約130ドル払う必要がある。日本円にして約1万9000円だ。
だが、アグア・カリエンテで給油すれば93ドルで済み、節約分は37ドル。つまり日本円で5400円ほどお得なのだ。