公益株の熱狂「安全かつ成長性ある」は本当か、米著名投資家が説く“ディフェンシブ”の本質Photo:Bloomberg/gettyimages

過熱する公益株への熱狂
強気の根拠を考える

 強気か弱気か、それが足元で加熱する公益株を考える上での鍵であり、ポートフォリオのポジショニングを決める

ケン・フィッシャ―氏Ken Fisher/運用資産25兆円超の独立系運用会社、フィッシャー・インベストメンツの創業者。米国の長者番付「フォーブス400」常連の億万長者。ビジネスや金融分野の出版物に多数寄稿し、投資関連の著書も数多い。父はウォーレン・バフェット氏が師と公言し、「成長株投資」の礎を築いた伝説的投資家である故フィリップ・フィッシャー氏

 2025年の不安定な市場のスタートで、どの世界株式セクターが不規則に市場を牽引しているかご存じであろうか?テクノロジーではない。エネルギーでもない。

 答えは公益株だ。この熱く注目されるカテゴリーは、消費財セクターと交互に市場を牽引している。しかし、そのアウトパフォーマンスは続くだろうか?関連する質問がある。あなたは概ね強気か?この答えが公益株の見通しを左右する。以下で説明しよう。

 4月21日時点で、世界株市場の時価総額の3%未満を占める公益株は、わずか3.5%の下落にとどまり、MSCIワールド指数を13ポイント以上上回っている。これに加え(世界株式の2.1%を大きく上回る)3.6%の配当利回りは、2025年の関税の恐怖から逃れるための安全な避難所と見る向きも多い。

 一方、AIがデータセンターの電力需要を押し上げ、公益株の成長を牽引するとの声もある。安全かつ成長性がある!守りと攻めの両立!強気の二つの論拠だ!だが、これらは説得力に欠ける。