原油価格は26年にかけて「30~85ドル」とボラティリティ拡大か、相場急変動が高める景気リスクPhoto:PIXTA

切り下がる原油価格
原油需給は緩和へ

 原油価格はトランプ政権誕生以降、水準を切下げており、国際原油価格の指標であるブレント原油は一時60ドルを割り込む場面もあった。原油価格の下落が顕著になったのは、米政権が「解放の日」と呼ぶ4月2日以降だ。過度な米国の関税引き上げが米国だけでなく輸出国の景気も減速させるとの見方が強まったためである。

 4月初めに発表されたIMF世界経済見通しでは、2025年の世界GDP成長率が+2.8%、2026年は+3.0%といずれも前回見通しを下回った。米国の成長率見通しは、2025年が+1.8%、2026年が+1.7%といずれも潜在成長率と言われる2.0%を下回った。

 これまで構造的に原油需要が増加していた中国の成長率見通しも、2025年が+4.0%、2026年が4.0%と前回の見通しから下方修正されており、原油消費の伸びが構造的に鈍化することが示唆されている。

 米エネルギー省(DOE)は5月の需給見通しで、2025年が3万バレル、2026年が+47万バレルのそれぞれ供給過剰の予想を示している。米国をはじめとする非OPECプラスの増産に加え、OPECプラス諸国の減産解除(増産)が見込まれるためだ。OPECプラス諸国は6月以降の増産ペースを加速する方針で、5月のDOE見通し以上に需給が緩和する可能性がある。