【初心者が陥りがちなワナ2】
初心者はリスクが低い投資信託を選ぶべき?

 投資の初心者の場合、債券を組み入れた「バランス型」の投資信託など、リスクの低い商品を選ぶのが正解だと考えやすい。しかし、実際はそうとも限らない。株式をメインで組み入れる「株式型」のような、値動きの大きい投資信託のほうが値上がりのチャンスは多いので、効率的に資産を増やしたいなら組み入れていったほうがいいだろう。

 そして、長期の積立投資であれば、リスクを抑えることもできる。積立投資は、価格が高いときは買い付ける量(口数)を減らし、安いときは増やす。結果として1口あたりの平均取得価格を低く抑えられる。これが「ドルコスト平均法」と呼ばれる効果だ。

 高値で一括投資をして、その後価格が下落した場合、損をなかなか取り戻せなくなる。また、価格が下落している局面では、心理的に購入をためらいがちだ。一方、積立は自動買付のため、価格変動のリスクを抑えつつ、人間の心理的な弱点を克服してくれる。

【初心者が陥りがちなワナ3】
人気のオルカンとS&P500を組み合わせれば分散はバッチリ

 資産形成の基本は「長期」「積立」「分散」。一つの投資対象に資金をつぎ込むよりも、投資先を分散したほうが損失拡大のリスクを抑えられる。そもそも投資信託は、複数の株や債券などを組み入れて運用するため、1本保有するだけで分散効果がある。2本、3本と保有する本数を増やせば、分散効果をより高めることも可能だ。

 しかし、組み合わせ方に注意が必要。例えば、人気の高いオルカン(全世界株型)の中身を見ると、組み入れている株の約6割が米国株だ。その一方で、新興国株は1割程度に留まる。全世界株型といっても、オルカンだけを持っている状態だと、米国株メインで投資しているのに等しいのだ。

 そこに、分散効果を高めようとして米国株型の投資信託(S&P500型の投資信託など)を組み合わせると、オルカンだけに投資するよりも、米国株の比率が高まってしまう。よって、投資信託を複数持つことで、分散したつもりにならないように要注意。それぞれの投資信託の中身をきちんと確認しよう。