「消費減税」と「給付金」どちらが王道か?物価高・トランプ関税の家計負担軽減アピール合戦Photo:PIXTA

立憲民主党も「1年間食料品消費税ゼロ」
参院選にらんで高まる「減税論」

 物価高やトランプ政権の関税引き上げを受けて、政府・与野党の間で、家計負担の軽減策として、現金給付(給付金)や消費減税を巡る議論が活発だ。

 立憲民主党は4月25日の執行委員会で、7月の参院選の公約に「1年間の食料品の消費税ゼロ」を盛り込むことを決め、野党側は、消費税の一律5%引き下げや廃止なども含めて「消費減税」で足並みがそろった形だ。

 公明党もこの日、発表した参院選に向けた重点政策で、消費税を念頭に「厳しい生活の負担を直接軽減する『減税』」を掲げたほか、自民党内でも参院を中心に消費減税を求める声が強まる。

 一方で、自民党内には代替財源のない減税論には慎重論も根強く、また減税実現には法改正などで時間がかかるため、つなぎの措置として国民一律の現金給付を模索する議論もある。石破茂首相は現金給付を含む経済対策を講じるため、参院選後に2025年度補正予算案の編成を近く指示する方向で調整に入っているとも伝えられている。

 物価と賃金の好循環を確実なものにするためにも深刻なコストプッシュインフレの影響を受けている家計負担軽減策は不可欠だ。だが減税と給付金では、GDP押し上げ効果は消費減税が大きいが、インフレによる税収増の迅速な還元を優先するなら給付金が有効であり、それぞれ異なる効果や性格を持つ。

 選挙へのアピール合戦ではなく、置き去りにされている財源論も含め、きちんとした政策論が必要だ。