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 米国債には常に買い手がいる。問題はその価格水準だ。この点で21日の市場は不快なサプライズをもたらした。重要なのは、米政府がそこから正しい教訓を得ることだ。

 額面で総額160億ドル(約2兆3000億円)の20年物米国債の入札は普段通りに進むはずだったが、需要低迷を背景にちょっとした混乱が起きた。利回りは最近の入札で基準になってきた約4.6%の水準を大きく上回り、市場予想を若干上回る5.014%となった。30年物国債の利回りは、今週2回目となる5%超の水準を記録した。10年債の利回りも若干上昇し、4.6%近くに達した。

 これは金融危機ではない。利回りの上昇幅は総じて小さかった。それでも株式投資家は注目した。債券市場の動きと、小売企業のまちまちな収益見通しを受けて、主要株価指数は下落した。

 この市場の混乱を米政府の責任にするのは最近の流行であり、こうした批判には理由がある。だが、市場を悩ませていると思われる最大の問題をまず認識する必要がある。それは経済成長だ。消費者心理を浮揚させ、政府支出を賄うのに十分な歳入を生み出す成長はどこからやってくるのか。

 この疑問を心に留めておいてほしい。コメンテーターや一部の政治家は、債券相場の急落を共和党が多数派を占める議会のせいにしようとしている。非難の対象は、議会で審議中の予算案が財政赤字を今後10年でさらに3兆3000億ドル拡大させることだ。この浪費が債券投資家を我慢の限界に追い込んでいるというのである。