
旺盛なオフィス需要や高級マンションの堅調な販売に支えられ、不動産デベロッパーの2025年3月期の決算は前期に引き続き絶好調だった。財閥系3社では住友不動産の躍進が目立ち、利益ベースで三菱地所を押しのけ、三井不動産に次ぐ業界2位の地位を盤石なものにしつつある。特集『激動!決算2025』の本稿では、住友不動産の好業績の原動力について解説する。ただし、足元ではその原動力を脅かす存在も現れている。住友不動産に襲いかかる「黒船」の正体とは。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
住友不動産が純利益で2期連続で2位に
都心部の高いオフィス需要が追い風に
主要デベロッパーの決算が出そろった。各社、分譲マンションや賃貸オフィスの底堅い需要を追い風に過去最高益を更新するなど好業績が目立った。財閥系のデベロッパー3社を2025年3月期の純利益で比較すると、前期に引き続き、三菱地所を押さえて住友不動産が2位を堅持した。長らく、三井不動産、三菱地所、住友不動産の順だった序列が変わりつつある。
下図が財閥系3社の決算の推移をまとめたものだ。
三井不動産は、国内外のオフィスの賃貸収益や、「パークタワー勝どき」や「三田ガーデンヒルズ」といった高級タワーマンションの引き渡しが増益に寄与。25年3月期の売上高は前期比10.2%増の2兆6253億円、純利益は10.8%増の2487億円となり、共に過去最高を更新した。
三菱地所は売上高に当たる営業収益が1兆5798億円(前期比5.0%増)、純利益は1893億円(同12.4%増)と、三井不動産と同様に過去最高を更新した。オフィスの賃料収入や運営するアウトレットの店舗売り上げが伸びた。
ただ、3社の業績を比較すると、売上高では三菱地所が住友不動産(25年3月期は1兆142億円)を大きく引き離しているが、純利益では、24年3月期から2期連続で住友不動産が三菱地所を上回った。住友不動産は首都圏で大型ビルの開業が相次ぐ予定で、26年3月期の業績予想でも、住友不動産が純利益2050億円と、三菱地所を100億円上回る見込みだ。
万年3位だった住友不動産が、三菱地所との序列逆転を果たしたのはなぜか。次ページでは、住友不動産の好業績の原動力について解説する。ただ、足元ではその原動力を脅かす存在も現れている。絶好調の住友不動産に襲いかかる「黒船」の正体とは。