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ポストコンサルとしてベンチャーキャピタル(VC)への転職は「華麗なるキャリアチェンジ」の王道となりつつあります。また、VC側にとっても、優秀かつハードワークを厭わないコンサル人材は、組織をスケールさせる上で喉から手が出るほど欲しい存在でした。しかし今、実際のVC求人上では採用ニーズに変化が出てきています。起業家側からすれば「きれいなスライドを書くキャピタリスト」は見慣れた存在となり、むしろ「具体的にどう事業を伸ばしてくれるのか」という視点が強まっています。2025年の市場動向を振り返ると、求人数は堅調ながらも、オファー獲得へのハードルは高まりました。長期連載『コンサル大解剖』内の連載『コンサルキャリアの新潮流』の本稿では、激変するVC転職市場の動向を総括し、26年に転職を考える方がどう動くべきかを解説します。(XG Partners VC リードコンサルタント 加藤大政)
「コンサル→ベンチャーキャピタル」の動向
VCに忍び寄る「選別の壁」とは
2025年、日本のベンチャーキャピタル(VC)業界はファンド設立ラッシュに沸きました。新規参入や既存ファンドの次号設立が相次ぎ、VC市場の門戸は大きく開かれたように見えます。しかしその一方で、Exit環境の変化や優秀なスタートアップへの資金集中など、厳しさを見せている側面もあります。
これまでVC投資先のExitは新規株式公開(IPO)がメインでしたが、その潮流が変わりつつあります。実際、24年まで年間90社前後で推移していたIPO件数は、25年には60社前後へと大幅に減少。東京証券取引所のリスティング基準や審査の厳格化により、「取りあえずマザーズ(現グロース)へ」という安易な上場が不可能になりました。
この結果、VCはM&AによるExitを現実的な選択肢として組み込むことを迫られています。事業売却を前提としたバリュエーション設計や、買い手企業(事業会社)とのPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)支援、運用期間が異なる中で共同投資している他VCとの足並みをそろえるなど、従来以上に高度なスキルが求められるようになりました。
特に重要になっているのが、コンサルタントが得意とする「成長ストーリーを描く力」に加え、利害関係者をまとめ上げる調整力とファイナンスの専門性です。
現在、スタートアップの資金調達環境は二極化しています。実績のあるシリアルアントレプレナーや、ディープテックなどの優良案件には資金が過剰なほど集まる一方、それ以外は厳しい状況です。
魅力的な起業家には、数多くのVCが集まります。これにより「選ぶ側」だったVCは「選ばれる側」に回ります。コンサル出身のキャピタリストが、起業家に「あなたの隣で汗をかく意味がある」と証明できなければ、投資機会すら得られない死活問題につながります。
これまでVCに求められたのは「リスクマネーの供給」や「ハンズオン支援」でしたが、25年はVCを取り巻く市場環境が変わりました。Exitの難化やグロースステージへの投資注目を背景に、転職時に求められるスキルも変わりつつあります。
では、「コンサル→VC」転職で押さえておくべきポイントはなんでしょうか。次ページでは、ポストコンサルでVCに求められるスキルや経験に加え、年収2000万円も視野に入る待遇面での大きな変化を明らかにします。さらに、「コンサル→VC」転職を成功させるための三つのポイントや26年の採用の最新トレンドなどを解説していきます。







