これらの企業に共通するのは、明確な目的や得たい経験を持つ人々に対し、その目標を実現できる環境を提供している点である。
そのため、こうした企業で働くことで得られる経験や環境に対する満足感・納得感が非常に高いことが、退職後の高評価へとつながっている様子がうかがえる。
「(入社を決めた理由は)日本人でも世界中の路線に乗務できるため。また香港ベースで海外に住んでみたかったので。どの路線にも乗務できることによってそれぞれの国のお客様の特徴やサービスの仕方などが学べた」(客室乗務員、キャセイパシフィック航空)」
「国際協力に関心があり、途上国での業務経験、生活経験をしたかったため。JICA に生活の水準や環境はサポートしてもらいながら、活動できるため、参加してよかったと思う」(PC インストラクター、JICA ボランティア)
「幼い頃から海外で生活をすることや働くことが夢だった。ワーキングホリデーや留学と比べると拘束時間が長く自由度は低いが、新築の社宅やキャストイベント、ディズニーキャストとしての経験、給料(チップ込み)、環境を考えると自身にとってはベストな選択だったと思う」(スタッフ、米国三越)
「製薬業界向けのマーケティングスキルを高めたかったため。IQVIA のデータは製薬業界のマーケティングを行う上で必須であるため、データの種類や定義、扱い方を学べたことは製薬業界でマーケティングを行う上で貴重な経験となった」(コンサルティング、IQVIA ソリューションズ ジャパン)
日本独自の雇用慣行である新卒一括採用や終身雇用制度が転換期を迎えるなか、社員の転職を一律に阻むことは現実的ではない。
たとえ将来的に社員が自社を巣立っていく可能性があるとしても、一人ひとりのキャリアに真摯に向き合い、成長の機会を提供して育成することによって、転職先においても「~~社出身なら安心だ」と評価されることが期待される。
他社でも通用する人材を輩出することは、企業にとって大きな魅力となりうる。それは中長期的に見て、新たな人材を惹きつけるための競争力の1つとなる可能性が高い。