◆意外と知らないイケてる改正ポイント3
「5年有期の支給終了後、十分な生活再建ができていない人は、引き続き遺族厚生年金を受給できる」

 5年有期給付の終了後も、障害状態にある人(障害年金受給権者)や収入が十分でない人は、引き続き遺族厚生年金を受給できるという配慮措置が設けられている。

 シングルの場合で就労収入が年間132万円(月収約11万円)以下ならば、遺族厚生年金は全額支給され、以降は収入が増加するにつれて収入と年金の合計額が緩やかに増加するように年金額が調整される。遺族厚生年金の金額にもよるが、概ね就労収入が月20万~30万円で遺族厚生年金の給付はストップする。

◆意外と知らないイケてる改正ポイント4
「遺族基礎年金の金額引き上げ」

 18歳未満の子がいる配偶者が受け取る遺族基礎年金は、基本となる金額に「子の加算額」で金額が決まる。

 残された配偶者が昭和31年4月2日以後の生まれの場合、基本となる金額は83万1700円(2025年度価格)で、加算額は次の通り。

・1人目と2人目の子の加算額:1人につき年23万9300円
・3人目以降の子の加算額:1人につき年7万8300円

 3人目以降が格段に少なかったのが問題だった。改正後の加算額は、「全ての子ども1人につき28万1700円」に引き上げられる。これは2028年4月に施行だが、現在受給している人も対象なるので、子育て中のシングルマザー、シングルファザーにとって、うれしい改正だ。なお、「28万1700円」は24年度価格のため、施行時に多少の増減はある。

◆意外と知らないイケてる改正ポイント5
「シングルの親が再婚するなど、一定要件に該当すると遺族基礎年金が受け取れなかったが、支給停止規定が大幅に見直しになる」

 わかりにくい話なので、ケースで説明しよう。

【ケースA】
夫が死亡し、18歳未満の子どもがいる妻は遺族基礎年金を受給していたが、子どもを連れ再婚すると、妻は遺族基礎年金が支給停止なる
→子どもが遺族基礎年金を受け取れるようになる

【ケースB】
離婚後、子どもは夫が養育していた。元夫が死亡したので、元妻が子どもを引き取ったが、元妻は元夫が死亡する前に離婚していたので、遺族基礎年金は受け取れない。
→母親に引き取られ生計を同じくしても、子どもは遺族基礎年金を受け取れるようになる