いいフォロワーがいなければ
組織は成り立たない

「学歴だけで終わる子」と「社会で生き残れる子」の決定的な違い【進学校の校長が教える】にしむら・ひであき/96年京都大学農学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入社。2004年、銀行員7年目の時に海陽学園の創立プロジェクトに声が掛かり参加。30歳を過ぎてから教員免許を取得し、初代「ハウスマスター」(寮の監督役)も経験した。理科教諭、教頭・副校長を経て、21年4月より現職。

西村 リーダーシップだけでなく、1年生から「フォロワーシップ」も教えているのが特徴です。いいフォロワーがいなければ組織は成り立たない。

 私は、リーダーとはその集団の中で最もふさわしい人がなるべきだと考えています。だとすれば、ある集団ではリーダーでなかったとしても、別の集団で他にリーダーになるべき人がいなければ、自分がリーダーをやる。そういう柔軟性も育んでいます。

渋田 フォロワーに徹するタイプの子もいますか。

西村 実は、卒業生に聞くと、海陽学園ではリーダーを経験していない子でも、卒業後にゼミ長やサークル長や部長をやっているという人が多い。

 在校中にリーダーはどうあるべきかをちゃんと見て、何をやるべきかをしっかり学んでいるので、将来どのパートを担っても臨機応変にそのパートの役割を果たせる力がついている。最後の最後に誰もいなければ自分が引き受ける用意はできているんです。

渋田 ああ、フォロワーがしっかりできれば、実はリーダーもできるということですよね。

西村 そうです。集団の中で何かが一番うまいとか、すぐれているからリーダーが向いているわけでもないし、集団を引っ張っていくだけがリーダーでもない。集団の中のひとりひとりの力を引き出して、掛け算して集団の力を高めていける人がリーダーなんです。そうしたリーダーシップはやはり集団で生活していなければ生まれてこない。

渋田 寮生活では、いろいろな子がいて、嫌いな子や、合わない子もいる。そういう中で、他人を受け入れられるようになるプロセスとはどのようなものでしょうか。