
「偏差値が足りない」といって
中学受験を諦めないで
渋田 ところで、海陽学園には様々な入試制度がありますね。4科目型の首都圏模試の偏差値だけで判断しなくてよい、学校で子どもの良いところをちゃんと探してあげたいという意志の現れだろうと思うのですが。
西村 はい。特別給費生制度もあれば、2科目型、3科目型、4科目型、英語を加えた英語型選考もあります。3科目型というのは、関西圏も近いので、算理重視の関西の男子校と似た国算理の受験です。さらに、視聴型入試といって映像や音声を利用し、知識面よりも、聞く力・伝える力を重視した形態の試験もあります。
生徒全員が首都圏から来ているわけではなく、進学塾が全国に行き渡っているわけでもありません。日本全国から集まってほしいので、多様な入試にしています。
説明会で保護者から「偏差値が足りないんです」と相談を受けることもありますが、首都圏大手塾の模試の偏差値がこうだから無理ということではなく、理念に賛同していただいた方に入学していただきたい。
渋田 最後に、読者へのエールをお願いします。
西村 中学受験での学校選びは保護者と子が一緒に選んでいくものだと思います。前述のとおり山を登り切ったときに頂上でどういう気持ちになってほしいかで、学校選びが変わってくる。お子さんのタイプによって、一生懸命いろいろな学校を研究してほしい。その選択肢のうちの一つに入れていただければ嬉しいですね。
目の前に受験が迫っている保護者やお子さんは本当に大変だと思いますが、中学受験は、我慢、努力、工夫を重ねることでもあります。勉強ができることが素晴らしいというのではなく、小学校という早い段階で、自分の目標を立て、その達成のために高いレベルで取り組むという経験をしていること自体を尊重してもらいたいなと思います。
渋田 前回の鬼ごっこ(学生が企画した寮のイベント)の話なども含め、“寮と学校で朝から晩まで勉強させる”などといった一般的なイメージとは少し違う、寮生活のリアルな日常や教育方針が読者に伝わったのではないかと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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