BYDは圧倒的な勝ち組になる
――世界経済で重要なポジションを占めるEVのビジネスは、今後どうなるでしょうか。
EVの製造にはレアアースが欠かせません。今、レアアースが中国からの輸出抑制により政治リスクにさらされています。また、米国ではEVへの支援が縮小される兆しがあるので、短期的にはEV市場は冷え込むでしょう。
消費者側からみると、充電設備などのインフラ不足、航続距離、価格が高いといった課題があります。欧州や中国では補助金があり、EUは2035年にガソリン車を廃止するなど規制強化があるので、米国よりは進展するでしょう。
中期的にみると、中国BYDや独フォルクスワーゲン、米テスラなど一部の勝ち組が寡占するでしょう。特にレアアースを持つ中国企業であるBYDは、アジアや新興国で圧倒的な強さを見せると思います。
長期的には、充電インフラがもっと充実し、技術革新によって充電時間やバッテリーの寿命もかなり改善されると予想できるので、EVが特に都市部では標準車になると思います。
ただし、繰り返しますが中国がEVに必要なレアアースの覇権を持っているので、それに左右される地政学的なリスクはあります。
――米国民は今でもトランプ大統領を支持しているのでしょうか。
MAGA層(Make America Great Againを熱狂的に支持する層)は、トランプ大統領が何をしても支持します。二転三転する関税政策についても支持しているほどです。
今でも国民の支持率は40%台半ばで推移していますから、それよりも大きく下がることはないと思います。MAGA層は、対イラン政策についても、トランプの強硬外交に強く共感しています。
コア支持層以外の共和党支持者は、政策によって支持率は変わりますが、共和党支持者の8割近くがトランプ大統領の移民政策に賛同しています。ですから、トランプ大統領は強固な基盤を維持していると言えます。従来の大統領と比べても、支持率が低いということはありません。
民主党支持者の間では、トランプ不支持が大半です。2018年に当時のトランプ大統領が、イランとの核合意を一方的に破棄したことにも大半が反発しています。
私は、常軌を逸したトランプを支持する人の気持ちが理解できませんが、MAGA層は確かにいます。しかし、それは支持者というよりも“トランプ信奉者”(acolyte)であると言うのが正しいと思います。
