教育・受験 最前線#9Photo:PIXTA

武庫川女子大学を運営する武庫川学院は6月、大学を共学化する方針を発表した。これに対して在校生や卒業生などから反発の声が上がり、見直しを求めるオンライン署名には現時点で5万人を超える署名が集まっている。武庫川女子大学のほかに女子栄養大学、岡崎女子大学、京都光華女子大学、清泉女学院大学、東京家政学院大学、名古屋女子大学、神戸松蔭女子学院大学、園田学園女子大学などが共学化を予定、あるいは今年度に共学化した。各校とも少なからぬ反対の声、惜しむ声が寄せられる。それでも断行するのには、運営する学校法人の懐事情が影響している。連載『教育・受験 最前線』では、共学化を決断した学校法人の最新決算から、懐事情をつまびらかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

武庫川女子大の共学化に
反対署名5万人

「武庫川女子大学の2年後への共学化方針の反対、中止または延期を求めます」と題したオンライン署名を募るサイトには7月8日現在、5万人を超える署名が集まっている。これは武庫川女子大学を運営する武庫川学院が6月17日、大学を2027年度に共学化するという方針を発表したことを受け、始まった運動だ。国内最大規模のマンモス女子大なだけに、共学化に対する反響は大きかった。

 武庫川女子大のほかにも、この25年度には清泉女学院大学(共学化後の学校名・清泉大学)、東京家政学院大学、名古屋女子大学(同・名古屋葵大学)、神戸松蔭女子学院大学(同・神戸松陰大学)、園田学園女子大学(同・園田学園大学)が共学になった(段階的移行を含む)。26年度には女子栄養大学(同・日本栄養大学)、岡崎女子大学(同・岡崎大学)、京都光華女子大学(同・京都光華大学)が共学化を予定している。

「女子大離れ」が進む中、男子学生に門戸を開く女子大は後を絶たない。武庫川女子大学ほどの騒動にならずとも、各校それぞれ女子大志向や愛校心が強い学生や卒業生の中には裏切られたように感じる者はいて、学校側は彼らに責められた。もっと時間をかけて検討してほしいという声も届いても、タイトなスケジュールで共学化を断行するのは、学校側の懐事情が影響している。

 次ページでは、共学化を決断した9女子大について、学校法人の最新決算から懐事情をつまびらかにする。