男女のビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

それなりの役職があるのに、働くことへの意欲が感じられない「働かないおじさん」が増えています。再び熱心に働いてもらう方法はあるのでしょうか?(組織変革コンサルタント 加藤芳久)

働かないおじさん・おばさん社員が
イキイキと働き出す効果的な声がけとは?

 この数年、退職の意思を本人に代わり会社に伝えるサービス、退職代行が流行っています。「もうムリだ!っと会社で感じたら」がPR文句の、「退職代行モームリ」という会社もあるようです。

 昭和の高度経済成長を支えた企業戦士たちが聞けば、びっくり仰天のこのサービス。彼らはむしろ、「モーレツ」社員であり、プライベートな時間などお構いなしで仕事に打ち込みました。

 モーレツ社員は会社への強い忠誠心と、根性を重んじる体育会系気質が特徴です。年功序列や終身雇用制度、「働けば豊かになる」という共通認識が、彼らを突き動かす原動力となっていました。

 ところが現在、かつてのモーレツ社員が“お荷物”のように扱われるようになりました。理由は3つ。まず、加齢により体力や集中力が低下しています。心身の疲労が蓄積し、さらに生活習慣病などにより以前のようなパフォーマンスが出ません。

 次に、求められるスキルが変化しました。デジタル化は、慣れ親しんだ業務プロセスを大きく変えたのです。また、リーダーシップのスタイルも指示命令型からコーチング型へと変わったことで、戸惑いを感じる人も少なくありません。

 さらに、意識の変化が挙げられます。役職定年などで管理職ポストを離れることで、モチベーションの維持が難しくなります。これまでの知識や経験が活かせず、葛藤する中高年が激増しています。

 かつてのモーレツ社員たちが活躍できないまま給料を払い続けることは、会社にとっても、周りの社員にとっても非常に良くないことです。かといって、すぐにリストラできるわけでもありません。では、やる気を失ってしまった中高年社員に、再び熱心に働いてもらう方法はあるのでしょうか?

次ページでは、実際に効いた3つのアプローチを具体的な職場の事例エピソードで紹介します。