社長の受け答えの態度の変化から
先行きの不安を察知し株を売却
その一方、「IR説明会で感じた違和感から不穏な雰囲気を察知し、株を売るきっかけになった経験もあります」とJAMMYさんは語る 。
その企業は、エネルギーの比較サイトやEV充電インフラを提供するエネチェンジ(4169)。2020年に上場を果たした企業だ。当時の社長であり、創業者の城口洋平氏が語る事業方針に共感し、2021年5月に株を買った。その後、株価が乱高下する場面があっても、IR説明会で個人投資家がぶつける質問には、どんな質問にも正面から答えていた城口氏に誠実さを感じ、株価が下がっても「長期投資」と覚悟を決めて保有し続けていたという。
ところが、2023年8月に行われた、2023年12月期(現・3月期決算)の中間決算発表での説明会で城口・前社長の様子に変化が起きたように感じたという。
「個人投資家からの質問に対して、歯切れの悪い回答が増えたんです。少しイラっとしたような態度を感じることさえありました」
その後、事業に対して疑問に感じた点をHP上の「IR・問い合わせ窓口」に質問をしたところ「競争上の理由から非開示」との理由で明確な回答を得られなかったということも重なった。
「それまでも疑問に感じたことは、その都度IRの窓口に問い合わせていましたが、このころ『非開示』という回答ばかりくるようになって、そこも不審に思っていました」
ちょうどその時期、2023年11月に発表された第3四半期決算で通期業績が下方修正された。
「それまで絶大な信頼を置いていた城口氏の対応に誠実さを感じなくなったことに加え、業績の下方修正もあり、成長性にも疑問を持つようになったため、徐々に保有株を売り始めました。最終的には2024年2月末までに、ほとんどを手放しました」
するとその直後の2024年3月、2023年12月期決算に関する不正会計問題が発覚。さらに2024年7月末には、会計処理問題の責任を取って、城口氏が社長を辞任する事態となった。結果的にJAMMYさんは、不正会計問題の発覚前に、保有株の大半を売却することができたことになる。

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「当時の社長の、その態度だけが売却の決定打になったわけではありませんが、会社の変化はそういうところにも表れるのだと実感した一件です。以降、特に社長の態度の変化には注意してみるようになりました」
株主総会より
IR説明会がおススメの理由とは?
最後に、JAMMYさんが実践する「社長の本音」を聞くコツを教えてくれた。
「実は、株主総会よりもIR説明会の方が、社長がリラックスして本音を喋ってくれることが多いんです」とJAMMYさん 。
ただし、ウェブ配信の場合は要注意。後から見られるアーカイブ動画では、社長のきわどい本音の部分がカットされていたり、場合によってはアーカイブ自体されなくなることもあるため、「リアルタイムでの視聴が鉄則」だ 。さらに株主総会に出席するなら、総会後に開催される「懇親会」への参加が絶対におすすめだという。
「総会の堅い雰囲気では言えないようなことも、ざっくばらんな懇親会の場なら、結構話してくれるものですよ」
2002年から投資をはじめ、元手1000万円を20年で3億円に増やした個人投資家。携帯ショップ店員時代に銀座で知り合った事業家から株を教えられ、株式投資をスタート。リーマンショックを乗り越え、アベノミクスの波に乗って資産を増やし、2015年に1億円を達成。その2017年に2億円、2024年に3億円に到達。3億円に到達した今も、株主総会やIR説明会には、多いときは週4回参加して日々研究中。個人事業主で、仕事も頑張る40代。
※本記事はJAMMYさんご本人の実際の投資経験を紹介したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任にて行ってください。