次期総裁候補として
注目される4人の人物
石破首相がこの先も長く宰相の座に居座る可能性があるとすれば、まず1つは、トランプ政権との交渉が難航を極めた場合だ。これまで石破氏と赤沢亮正経産相を中心に交渉を続けてきたため、国益の点から交代しにくい。
もう1つは、今現在、「石破降ろし」を掲げ、倒閣に走る軸となる人間が自民党内にいないという点だ。
参院選で大勢が判明した後、いち早く麻生太郎最高顧問(元首相)が「首相の続投は許されない」と述べたのは、あくまで党の空気を代弁したものにすぎない。
麻生派以外、派閥が消滅した自民党では、「高市早苗元経済安保相がいい」とか「ここはやはり小泉進次郎農水相で」といった声が散発的に上がることはあっても、誰かが音頭をとり、「現時点では、石破首相を引きずり下ろして総裁選をやるぞという空気にはなっていない」(旧二階派衆議院議員)
むしろ、対米交渉、少数与党という状況下での国会運営、喫緊の物価高対策など、目の前にある難題は「全部、石破さんに背負ってもらえという雰囲気」(同)なのだ。
「永田町の回転寿司は1回しか回ってこない」(首相になるチャンスは滅多にない)
永田町には、こんな言葉があるが、今の自民党内で有力者と呼ばれる人、そしてその側近とされる議員たちの胸中は、「お皿は回ってきたけど、今は食べどきではない。食べたら腹をこわす」といった心境なのかもしれない。
その空気が一変し、政局となった場合は、参院選で離れた保守層を呼び戻す意味で高市氏、秋以降に噂される衆院選をにらんで、党の「顔」になれる小泉氏、あるいは、国際情勢が流動化しているため、岸田氏の再登板、もしくは経験豊富な林芳正官房長官の擁立を図る動きが浮上してくるはずだ。ある政治記者はこう語る。
「お盆はちゃんと休めそうだけど、その先はわからないね」(在京メディア政治部記者)
(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授 清水克彦)