株価、序列、人事で明暗! 半期決算「勝ち組&負け組」【2024秋】#3Photo:PIXTA

証券業界は、個人と法人の顧客向けビジネス双方で「二つの追い風」が吹き、足元の業績は絶好調だ。だが、全てのプレーヤーが「勝ち組」というわけではない。最新決算をつぶさに読み解くと、「負け組」の存在も見えてくる。それは一体どこなのか。特集『株価、序列、人事で明暗! 半期決算「勝ち組&負け組」【2024秋】』の#3で明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

フロー型からストック型へ
対面証券で進む「改革」の成果

「歴代の社長が改革してきた成果が今、着実に表れている」

 2024年度上期(4~9月期)の決算について、ダイヤモンド編集部の取材にそう語るのは大和証券グループ本社の吉田光太郎CFO(最高財務責任者)だ。大和は同期に連結純営業収益3102億円、経常利益1106億円と、連結会計を導入した2000年度以降の上期で最高額をたたき出した。吉田CFOが「経営の安定度は高まっている」と自賛するのもうなずける。

 吉田CFOの言う改革とは、「ストック型」ビジネスモデルへの転換だ。証券会社はかつて、株式などの売買手数料でもうける「フロー型」が主流だった。フロー型は市場の取引が活発なら稼ぎは大きいが、市況が停滞すれば途端に収益が激減する。

 一方、顧客から資産を預かり、その資産残高に応じた一定の報酬を受け取るストック型は市況の影響を受けにくい。今年1月に新NISA(少額投資非課税制度)が始まったことで、大和に限らず多くの証券会社で預かり資産残高が増えている。

 日本銀行によれば、家計の金融資産は6月末時点で2212兆円。このうち半分を占めるのが現預金であり、投資信託や証券等は20%に満たない。「貯蓄から投資へ」の流れが今後も進む余地はあり、そうなれば証券会社はストックをさらに積み増すことになる。

 だが、証券会社に吹く追い風はこれだけではない。次ページでその詳細と、絶好調の陰に潜む意外な“落とし穴”を明らかにする。