上智大学の就活事情

 大学の規模が大きくはないので、企業社会で学閥のようなものはできていない。一流企業と呼ばれる会社の採用でも、大学名でハネられるということはまずないが、早慶と比べた場合、そのウケは一段落ちることも。

 会社の人事担当者などからの一般評は、「基本的に優秀だが、ズバ抜けた人材はあまりいない」。また、「上智卒は使いやすい」とも言われている。個人主義的ではあるが、職場への順応性は高く、良くも悪くもコンサバティブな人生観の持ち主が多いからだろう。

 だが、これは主に男子学生についてであり、女子はけっこう色眼鏡で見られがち。「芯が強くて期待できる」から「プライドが高くて扱いづらい」まで。「英語ができて当たり前」と決めつけられることも、女子のほうがありがちなようだ。

 学部別では、外国語と国際教養は外資系志向が強く、採用側からの期待も高い。文学部は専門職志向が強い。

 法学部、経済学部は大手金融会社や商社などの人気企業に向かうケースが大半で、成果は早慶の次といったところ。理工学部は院卒でないと、少し苦労する。「パイプがある企業には毎年推薦が取れ、採用されやすい」とか。

 業界別では金融、コンサル、サービス、情報系が多く、商社とマスコミへの就職も目立つ。商社は「親も商社マンだから」「語学力が一応活かせる世界だから」という感じだが、マスコミ就職は新聞学科だけでなく、文系学部の少なからぬ学生が勝てる可能性のある博打として視野に入れている。

 毎年、相当数を送りこんでいるNHKをはじめ、成功率はそこそこ高い。

 資格試験については、都心の難関大のわりには受験熱が低いが、国税専門官、公認会計士などをめざす学生は徐々に増えている。一方司法試験合格状況は低迷。

 キャリアセンターの評価は、「基本的に放任主義」「もう少し寄り添ってほしい」など不満の声が目立った。国際協力系機関への就職もサポートしてくれるが、他大学と比べると手薄いかもしれない。