
大企業での大幅な人員削減がニュースになる昨今、氷河期世代・ミドル世代が希望退職勧奨をされたときに、会社に残る人と辞める人の違いはどこにあるのか。迷った時の判断基準とは。人事や採用分野に詳しいコンサルタントによる連載第13回。(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)
パナソニックや日産で
大規模な「平時のリストラ」実施
最近、誰もが名前を知る大手企業での、数千人単位の希望退職の募集が話題になりました。こうした状況を目の当たりにすると、「さっさと辞める人」と「会社にしがみつこうとする人」の違いが浮き彫りになります。
希望退職募集に「さっさと乗る人」と「それでも会社に残ろうとする人」の決定的な違い、それは「ポータブルスキル」があるかどうかです。
ポータブルスキルについては前回の連載記事で詳しくお話しましたが、ミドル世代の多くは、日本企業の雇用システムの性質もあって、企業内でしか通用しない、社内での生き残りスキル(企業内特殊スキル)に特化してキャリアを積んできている傾向があります。
企業に関係なく、汎用的に活用できる専門職種のプロフェッショナリティや、語学力、マネジメント力などのポータブルスキルを身につけている人があまり多くありません。
その会社での生き方がうまくなっても、転職では通用しません。大規模な希望退職募集があったとき、「さっさと辞める人」は自分のキャリアを主体的に形成し、社外での人脈を作り、技能を身につけている人たちです。彼らは会社に依存していないので、退職金が上乗せされる好条件なら「それだったら辞めます」と即決できるのです。
一方、「会社に残る人」は職務経歴書に書けるようなポータブルスキルがありません。職務経歴書にはポータブルスキルしか書けないため、それがない人は崖っぷちに立たされても飛べないのです。ではそういう人はどうすればいいのでしょうか。