転職活動を始めてから「自分の強み」「仕事への価値観」を発見したBさん

 Bさん(30代前半)の転職活動は、Aさんとはまったく異なる状況からのスタートでした。必ずしも転職しなければならないわけではなく、自分にどのような仕事が向いているのか、自分は何がしたいのかもあいまいだったのです。

 Bさんは小売業で店舗勤務や棚卸しなどの仕事を経て、日用品の物流・在庫管理を担当。期間限定で配属された部署で働いており、期間満了により異動を控えていました。しかし、別の部署で新たな仕事をすること、今後のキャリアの見通しに不安を抱いたことから「転職」という選択肢が浮かび、転職エージェントに相談したのです。

 アルバイトからそのまま正社員に登用されたBさんは、就職活動の経験がありません。そのため、「自己分析をする」「さまざまな企業を比較検討する」「面接に向けて自分の考えを整理する」といった経験もほとんどありませんでした。

 そこで担当キャリアアドバイザーである筆者と一緒に、これまでのキャリアの「棚卸し」からスタート。これまでどのようなお仕事に、どのようなスタンスで向き合ってきたのかを話し合いました。すると、「責任感の強さ」「業務を効率化・改善する力」「他部署の人々との連携力・関係構築力」といった強みが浮かび上がったのです。Bさんにとっては「自分にはこんな強みがあったのか」という、新たな発見となりました。

 これらの強みは、あらゆる業種や職種で評価されます。これまでの経験が生かせて、かつ興味を持てる企業・複数社に応募したBさんは、面接でこの強みをアピール。企業から評価されたことで、さらに自信がついたようです。

 なお、筆者との対話のなかでは、「強み」に加えて「仕事に対する価値観」にもフォーカスしました。Bさんは決して今の会社に不満を抱いていたわけではなく、むしろ気に入っていたのです。そこで「どんなところが気に入っているのか」の要素を分解した結果、「さまざまなバックグラウンドを持つ人々がいて、一人ひとりが公平に尊重されている」風土に魅力を感じていることが言語化されました。