近年、若手を中心に、入社時の配属先が希望と大きく異なる「配属ガチャ」を敬遠する傾向が強まっている。

 今回ランクインした企業においては、営業職で入社すればそのまま営業組織の管理職へ進むといった固定的なキャリアパスではなく、社内で別の部署の仕事に挑戦できる「社内兼業」や、希望するポジションに応募できる「公募制度」といった仕組みを整備し、多様なキャリア形成を可能にする環境が評価されていると考えられる。

社員が離れない職場に
共通する“姿勢”とは?

 ライフステージの変化に合わせて働き方を柔軟に調整できる環境づくりも、社員が安心して働き続けるために欠かせない要素である。

 以下のランクイン企業のクチコミからは、女性の産休・育休にとどまらず、介護休暇や男性の育休取得など、社員のニーズに応える制度が年々充実している様子がうかがえた。

「女性社員比率がとても高く、産休・育休からも全員復帰していて、あらゆるライフスタイルの方を内包する会社だなと思います」(企画、トレンダーズ)

「近年では男性の育休も推奨されており働きやすい環境が整っている」(営業、三井不動産)

「女性や子育てをしている人も多く、子育てをしているマネージャーもいる。子育てや介護を行っている社員向けの福利厚生のプログラム(休暇やベビーシッターなど)を利用することもできるので、働きやすいと言える」(マーケティング、セールスフォース・ジャパン)

「(女性の働きやすさについて)意識は非常にしていると思う。規模も小さいので、女性からの発案でどんどんルール化されている」(コンサルタント、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)

「急な子育てニーズや介護にも対応できるくらいフレキシブルで、周りの理解もとてもあるため、期待されている仕事をやり抜いている限りにおいては、ワークライフバランスがよい会社だと思う」(管理部門、P&Gジャパン)

「男性社員であっても育休を取得することが推奨されており多くの男性職員が1カ月から1年程度の育休を取得している。特に第二子の場合は半年以上の育休を取得される方のほうが多いのではないだろうか。病気休暇の制度もあり、有給がなくなっても数日間風邪で休むなどの場合は医師の診断書なく病気休暇が取得できる」(審査官、特許庁)

 社員の定着施策は、必ずしも大規模な制度設計や潤沢な予算から始める必要はない。実際、今回のランキングには従業員数が200人ほどの企業も複数ランクインしている。

 共通して見られるのは、社員の声を丁寧に受け止め、小さくても地道に制度や環境を育てる姿勢である。クチコミにも「幹部が社員それぞれの強みを最大限活かせる場所を真剣に考えてくれる」といった声が寄せられている。

 社員のキャリアや人生を真剣に考える姿勢そのものが、社員からの信頼を生み、ポジティブな定着へとつながっているのである。