
今春、サントリーホールディングスで10年ぶりに創業家出身者がトップに就任する“大政奉還”があった。1899年に「鳥井商店」として産声を上げ、創業120年の歴史を誇る日本屈指の同族企業、サントリーの足跡をダイヤモンドの厳選記事を基にひもといていく。連載『ダイヤモンドで読み解く企業興亡史【サントリー編】』の本稿では、「ダイヤモンド」1967年10月30日号の「一流食品15社長が語る“成長番付予想”」というコーナーで、サントリーの佐治敬三社長が、同年4月に発売した純生が大当たりした三つの要因を解説している。初のヒット商品の誕生で勢いのついたビール事業について強気の目標も明らかにしている。(ダイヤモンド編集部)
生活の洋風化が急速に進む
コーラと洋酒が有望食品に
質問1 “主力食品35種の成長率一覧表”(編集部注:35種類の食品について過去5年間の生産量の成長率を掲載。コーラやインスタントコーヒー、チーズなどが大きく成長する一方、アイスクリームやキャラメル、焼酎・合成酒などの成長はわずかだった)を見て、何を感じられましたか?
佐治敬三社長 “生活の洋風化”が、急速に進んでいることが分かる。これは、戦後生まれた若い人たちが消費層に成長してきたためだ。あと数年もすると、こういう若い人たちが、社会のオピニオンリーダーになっていく。
質問2 今後5年ぐらいの間に大幅な成長が期待できる花形食品を二つ以上挙げてください。
ずばり言ってコーラ飲料とウイスキー。ビールもかなり有望だろう。うちの主力商品はウイスキーとビールだが、ウイスキーは、今後5年で需要倍増が期待できそうだ。普及度がまだ低く、市場開拓の余地をじゅうぶん残していること、それに青年層を中心に、飲酒人口が大幅に伸びていることが何よりの強みだ。

質問3 貴社の主力製品の将来性について。
ビールは年率8%前後の伸びが基本線となろう。5年後の需要は、現在の1.5倍程度になるとみている。
質問4 新分野進出の計画について。
質問5 目下緊急の経営課題は?