5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…#40Photo:PIXTA

投資家にとって、企業の配当額は投資判断に直結する大きな指標だ。一方で、配当額は企業の資本政策にも左右されるため、必ずしも企業の“実力”通りに配当が実施されるとは限らない。では、その実力に即した配当額とはいかほどなのか。今回、さまざまな経営指標から、独自に各社の「理論配当額」を推計。実際の配当額との差をランキングにした。特集『5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…』の#40では、食品・外食業界115社の理論配当額との乖離額ランキングを公開する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

食品・外食業界の“本当の高配当企業”
独自推計した理論配当額との差をランキング

 投資家にとって、企業の配当額は投資判断に直結する大きな指標だ。ガバナンス改革などを背景に、株主還元を意識する企業が増えており、累進配当の導入や配当性向アップなどをアピールする事例も増加している。

 一方で、配当額は企業の資本政策にも左右されるため、必ずしも企業の“実力”通りに配当が実施されるとは限らない。配当よりも成長投資を優先する企業や、内部留保の確保を重視する企業も存在するためだ。

 では、それぞれの企業の配当額の“実力”とはどれくらいなのか。そこで今回、純利益やPBR(株価純資産倍率)といったさまざまな経営指標を基に、重回帰分析によって独自に各社の「理論配当額」を推計。実際の配当額がどれくらい上回っているのかを算出し、その乖離額をランキングにした。

 この理論配当額は、同じような企業規模や“スペック”の企業の水準を考慮した、ある意味「妥当な配当額」とも呼べるものだ。ランキングを見れば、単純な配当性向の比較だけでは分からない、企業のスペックに対して配当を多めに出しているといえる「本当の高配当企業」の存在がくっきりと浮かび上がる。

 一方で、乖離額がマイナス、つまり理論値よりも配当額が低い「配当出し渋り企業」の存在も浮き彫りとなる。だが、それは裏を返せば「配当ポテンシャルの高い企業」と見ることもできる。企業の方針変更次第では、それだけ配当を増やす“余力”があると考えられるからだ。

 では、理論配当額との差が大きい企業はどこなのか。今回は、食品・外食業界115社のランキングを見ていこう。

 食品・外食業界は、値上げが一定進んだことで業績を伸ばしている企業も多い。ただし、足元では消費者の買い控え傾向や、人件費の高騰などがリスクとなっている。そうした中で、各社の還元動向はどうなっているのか。JT、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリー食品インターナショナル、味の素、キッコーマン、明治ホールディングス、日清食品ホールディングス、東洋水産、山崎製パン、日清製粉グループ本社、ヤクルト本社、日本ハム、カルビー、ゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、すかいらーくホールディングス、FOOD & LIFE COMPANIES……。

 また、ランキングでは、アナリスト予想を基にした3期後の配当性向も掲載している。これを見れば、配当がどの方向で推移しそうかもチェック可能だ。次ページで、その詳細を公開する。