なぜ学生時代の教育は
仕事で全く役に立たないのか
大学まで進学したとすると、小学校6年間、中学校3年間、高校3年間、大学4年間で、合計16年間も勉強してきたことになります。ところが、16年間も勉強しているのに、社会に出たらまったく役に立ちません。どうしてでしょう?
なぜなら、「知識を記憶しただけで、体で実行していないから」です。
「知識がある」ことと「理解している」ことは、必ずしも同義ではありません。
「知識」は記憶・記録にすぎず、学んだ知識を体で実行してみて、はじめて「理解した」といえます。
教える時間で学んだ「知識」を人前で話させることによって、はじめて「理解」できるようになります。そして「理解」させたら、同じことを何度も何度も繰り返すと、今度は「わかる」ようになります。
「知識」を教え、「理解」させ、「わからせる」
これが正しい「教育」のあり方なのです。「武蔵野」ではそれを念頭に、社内で明確に教育の手順を仕組みとして整備することで、社員が育っていきます。
「早朝勉強会」で社員を育てる
「武蔵野」では、定期的に「早朝勉強会」を実施し、「経営計画書」と『仕事ができる人の心得』(阪急コミュニケーションズ)の内容を解説します。講師は私、小山昇。勉強時間は朝7時30分から8時30分までで、
・7時30分~8時15分……小山昇による方針の解説(教える時間)
・8時15分~8時30分……社員によるコメント発表(育てる時間)
に分けて「教育」しています。基本的に「参加は自由」ですが、出席状況を賞与評価に反映させているので、なかば強制的に出席させています(早朝勉強会は毎日実施し、各個人は半期に10回参加する)。
「教える時間」の45分間は、できるだけ、「社内で実際に起きた出来事(失敗)」を題材にします。アメリカやフランスの話はピンとこなくても、「社内で実際に起きた出来事」であれば、リアリティが増すからです。
それに、「部長の菊池は、昔は酔っ払うとお尻を出して歩くクセがあった。だからそういう不謹慎なことをしちゃいけないよ」なんて笑い話を交えれば、「部長はあんなに偉そうなことを言っているけど、昔はそんなことがあったんだ」と親近感が沸くじゃないですか。社員にとって、「上司の失敗は蜜の味」なんです。