目の前の困っている人を助けること
=縁をつなぐこと

 このとき私は、「明日は、別の研修講師の仕事があるので、大変、残念ながらお引き受けできません。また、次回、どうぞ、よろしくお願いいたします」とだけ言って、電話を切ることもできました。

 けれど「縁を大事にしていこう」と決めたばかり。

 そこで、私は「あいにく私は、別の研修講師の仕事で都合がつけられません。けれど、どなたか引き受けてくださる講師を探すお手伝いを、私もします」と申し出ました。

 私は、「目の前の困っている人を助けること=縁をつなぐこと」だと思ったのです。

 何人かの知り合いの講師に電話をかけ、数時間後、代役の講師をなんとか見つけることができました。Sさんには、とても喜んでいただけたのです。

 そして後日、私は、Sさんから意外なお声がけをいただくことになります。私に「大学での講座を、受け持ってほしい」というのです。

 もちろん、当時の私は、大学で教えた経験はありません。けれどSさんは、「あのときのような行動力があれば、必ずできます」と見込んでくださいました。
 私は「縁を大事にしたこと」で、「大学で教える」というチャンスをいただいたのです。

「円を求めず、縁を求めよう」という思いがなければ、「別の仕事が入っているので、できません」と断っていたはずです。
 代役の講師を紹介することもなかったでしょう。

 けれど、Cさんに気づかせていただいたおかげで、「縁」を求め、「Sさんの力になりたい」という気持ちに至ったのです。