揺らぐコンビニ3強 トライアルGOの衝撃#10Photo by Masato Kato

2025年7月、トライアルホールディングス(HD)は西友を約3800億円で買収した。西友の店舗網を活用し、首都圏で小型店舗のトライアルGOを展開していく。トライアルGOの強みは何か。彼らはコンビニチェーンをどう捉えているのか。特集『揺らぐコンビニ3強 トライアルGOの衝撃』の最終回は、東京大学を卒業し大手広告代理店勤務を経て、現在はトライアルGOを率いる廣石財社長に首都圏進出の手応えを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)

強みは圧倒的に食
福岡での出店も拡大フェーズ

――11月に東京で、トライアルGO業態の西荻窪駅北店と富士見台駅北店をオープンしました。今後、首都圏での出店はどのように進めていきますか。

 12月に中野中央5丁目店と笹塚駅西店をオープンし、年内には首都圏で4店舗体制になります。食領域での出来たて商品が強みなので、製造拠点からできるだけ近くに出していきたい。2026年以降の出店計画は、2月に発表する中期経営計画でお伝えします。

――福岡エリアでは30店舗が目前となり、「1から10に増やしていくフェーズ」と聞きました。どのような計画がありますか。

 実は12月上旬に、福岡県中央区でも小笹4丁目店をオープンします。首都圏への出店と同時に、福岡でも拡大していきます。

――トライアルGOの一番の強みはどこにありますか。

 圧倒的においしい食です。今回、首都圏に出店するに当たって「毎日行きたい、何度も行ける」というストアコンセプトを新たに設定しました。トライアルの主力形態はスーパーセンターですが、1日に何度もスーパーセンターに通う人はあまりいません。

 トライアルGOはグループの中で、初めて1日に何度でも通っていただける業態です。何度も来てもらうためには、価格は動機の一つになり得ますが、やはり食が強みになる。

 もともとトライアルグループにあるおいしい商品を、もっと多くの人に届けるために出来上がったフォーマットがトライアルGOでした。「かつ重」に代表されるセントラルキッチンで作った出来たて商品のほか、おすしなどがストロングポイントになると思っています。

――首都圏では、駅前などの好立地にはすでにコンビニが出店しています。都市開発などで人流が変わる場合を除き、新たに好立地を獲得できるチャンスは少ないのでは。西荻窪駅北店も駅から住宅街に向かう商店街にありますが、メインの大通りにはローソンがあります。後発のハンディをどう埋めますか。

コンビニの加盟店にとって、安さを武器にしたトライアルGOは脅威となり得る。では、トライアルGOはコンビニやまいばすけっとをどう捉えているのか。次のページでは、廣石社長が競合とされているコンビニやミニスーパーに対する考え方のほか、出店立地や決済サービスの拡充について明かした。